Page: 1/1   
センチなメンタル

先日、僕はとんでもないものを見た。

 

 

 

おばちゃんの立ち漕ぎである。

(推定65〜70歳)

 

 

おばちゃんの立ち漕ぎなんてなかなか見れるもんじゃない。

そりゃ、その辺のおばちゃんに立ち漕ぎしてくれと

頼めば見れるかもしれないが、そうじゃない。

僕が見たのは養殖じゃない天然の立ち漕ぎおばちゃんなのだ。

 

 

風に揺れる白髪のボブ。

ペダルを漕ぐ痩せ細ったふくらはぎ。

苦労を物語る哀愁漂う背中に

彼女の女子高生時代が一瞬透きとおって、、

あ〜、見える、見える。

あまりにも自然体で感情にうったえてくる。

 

 

 

 

妄想がふくらんだ。

 

 

名前はエイ子。

若くして嫁ぎ、姑にいじめられ、

2人の子を授かると先に旦那が他界。

女手ひとつで子供を2人育て、

落ち着いたかと思いきや親の介護に追われる日々。

親も亡くなり、ようやく全てに解放された時にはもう70歳。

老後はペットを飼ってゆっくり過ごしたいという

細やかな夢がようやく叶う時がきた。

「今日こそ買うわよ!」

エイ子はママチャリに乗って

ペットショップへと急いだ。

「こんなにワクワクしたのは高校生以来だわ!」

エイ子は我を忘れて立ち漕ぎをしていた。

 

 

あ〜〜、なんてチャーミングでけなげなんだろう。

 

 

「エイ子ちゃん、お疲れさん。」

 

「今までよく頑張ったね。」

 

 

と、僕は勝手に妄想し、勝手にセンチなメンタルになった。

 

 

 

 

その3日後、何の因果か、家の近所で

ガイコツに湯葉を巻いたようなジジイが

ダルダルのタンクトップに短パン姿で、

黄色の棒アイスをしゃぶりながらママチャリをガニ股で漕いでいる、

肉質、身なり、動き、全てにおいてダルっダルの

光景に遭遇した。

 

 

見える、見える。

ジジイの少年時代が透きとおって、、、

いや、これはチャーミングどころか、品位のかけらもない。

なんだか落ちてきた。

ついでにガキの頃、土手の草むらで

野グソをしている少年と目が合って

何とも言えないシュールでセンチなメンタルになった記憶まで

思い出してしまったので

僕は妄想を放棄した。

 

 

自分もいずれそうなるのかもしれないが、

昔温泉で見た裸のジジイが妖怪ぬらりひょんみたいでキモち悪かったのと、

ガキの頃、

温泉に浮いている湯の花(いかにも湯葉っぽい)が人間の垢だと

勘違いしていただけに

湯葉っぽい素材感のジジイはトラウマです。

 

 

 

何はともあれ

かっこいい歳の取り方をしたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| Velo | 00:46 | - | - |
前衛たばこクリエイター集団ヤニーズ事務所

203X年。

2020年から始まった禁煙ブームのおかげで

たばこ産業は衰退していた。

財務省はたばこブームを再燃させるベく、

今までにない前衛的なたばこを開発する組織

「ヤニーズ事務所」を設立。

財務省の回し者である所長のヤニーさんは

日本全国から現代アーティスト、詩人、科学者、デザイナー

などイカれた変態野郎を集め、

日々アバンギャルドすぎるたばこの開発に取り組んでいた。

 

 

今日はハイパーオカルティック生物学の第一人者ヤマさんのプレゼンの日だった。

メンバーは皆ワクワクしていた。

 

「あの人マジでやべぇ〜っすからねぇ」

「ぱねぇっすよね〜」

「ボクらの間じゃレジェンドっすからねぇ」

 

 

ヤマさんがやってきた。

ハゲ散らかしまくった白髪頭にヤニで茶色に染まった白衣、

ギョロギョロして血走った眼球、まさに絵に描いたようなマッドサイエンティストである。

 

 

「え〜〜、皆さんお疲れさまです」

「まずは僕の作ったたばこを吸ってみてください」

 

全員にサンプルが配られた。

 

モクモクモクモクモクモク、ぷはぁ〜〜〜〜。

 

 

 

現代アーティストのタカさんが感想を述べた。

 

「香ばしいっすね」

「なんだか夏休みの前日を思い出しちゃいましたよ」

「あのウンコの先っちょがはみ出そうなキュンとする感じっていうのかなぁ〜」

「ワクワクしますね〜」

「へへへ」

 

ぷはぁ〜〜〜〜。モクモクモクモク。

タカさんは遠い目をして思い出にふけっていた。

 

 

 

「さすがタカさん」

「わかってらっしゃいますね」

「そう、このたばこのタイトルは”あの夏を忘れない”なんです」

 

「まぁ漢方に近いんですがね、、、、」

「成分の80%はヒラタクワガタとカブト虫のすり身」

「15%はクヌギの木とその樹液、残り5%は腐りかけのスイカエキスなんですよ」

「どうせ吸うのは昭和の残党どもですからね、年齢的にも滋養強壮、スタミナ、あと懐かしさも必要かと思いましてね」

「皆さん、夏休みを思い出してください」

「どこからともなく漂ってくるクワガタとカブト虫のニオイ、おぼえていますか?」

「クワガタ飼ってる虫カゴ開けたら、エサにしてたスイカの食べ残しが腐ってたでしょう」

「あのすぅぃ〜てぃ〜なニオイも皆さんの思い出だと思うんです」

「やる気が出ること間違いなしです」

 

 

 

 

 

 

「おおおおおおおお〜〜〜〜〜〜!」

 

 

 

 

誰もが納得していたが

所長のヤニーさんだけはまだ納得していなかった。

 

 

「ヤマちゃんよぉ〜〜」

「懐かしいのはいいんだけどさ〜、なんでさ〜、ヒラタクワガタとカブト虫が滋養強壮に役立つわけ?」

 

 

 

「え?何言ってんすか?」

「知らんのですか?」

 

「6センチ以上の大ヒラと力比べしたことないんすか?」

「半端ねぇ〜ですよ!」

「あのアゴの力、ぜってぇーーーおかしいですって!」

「だって、大人でもこじ開けれねぇ時があるんすよ!」

「挟まれて指に穴あいちゃった奴もいるぐらいっすよ!」

「あのスカスカの体のどこにあんな筋力があるのか不思議に思ったことないんすか?!」

「ヒラタとカブトが人間サイズになったらどうなると思います?」

「ゾッとするでしょう?」

「奴ら、ぜってぇーーーこの世の物理に反してますって!」

「この世界、マトリックスだってーーーー!」

 

ダァーーーーン!!

 

ヤマさんは机を思いっきり叩いた。

 

「あの底知れぬ謎の力、このまま放っておくわけにはいかんのです」

「人類の未来の為なんです」

「宇宙の謎だって解けるかもしれないんです」

「所長、お願いします!」

 

 

他のメンバーも団結した。

 

「所長、お願いします!」

「人類の未来の為に!」

 

 

 

ヤニーさんは目をつぶり腕を組んでじっとしたまま聞いていた。

そしてぼそっとつぶやいた。

 

 

 

 

 

「ノーベル賞だな」

 

 

 

 

「え?」

 

 

「これはノーベル賞もんだよ、ヤマちゃん!」

 

 

「本当ですか!」

 

 

 

ヤマさんは心の底から喜んだ。

今まで変態以外の誰からも受け入れられなかった

ハイパーオカルティック生物学が、

55歳にしてようやく認められたのである。

ヤマさんはその日の夜、嬉しさと開放感のあまりデリヘルを呼んで

30年ぶりにフィーバーしまくった。

 

 

 

翌日、ヤニーさんは”あの夏を忘れない”のサンプルと企画書

をまとめて細川財務大臣にはりきってプレゼンした。

 

「細川さん、たばこ革命おこしちゃいますよ」

「どうですこれ?」

 

 

 

 

「まぁ面白いんだけどね、、、」

 

「実はね、クワガタの力は国家機密なんだよ」

 

「君達が関与することは許されないんだ」

 

 

「え?、、いや、、しかし、、、」

 

 

「クワガタと自分の命、どっちが大切かわかるだろ」

「君は国を敵にまわしたいのかね?」

 

 

「は、はぁ、、、、でもですね、、、」

 

 

「ヤニー君!」

 

 

「は、はい!」

 

 

「この件は忘れたまえ!!」

 

 

「承知いたしました!」

 

 

 

その後ヤニーズ事務所は閉鎖を免れたが

「真理を追求しすぎた者死あるのみ」と上層部から脅され、

クソつまらないたばこの開発をするようになった。

そしてヤマさんだけは謎の黒装束軍団に命を狙われるようになった。

しかし、若かりし頃オカルト映画を観すぎたヤマさんは

それがちょっと嬉しかったらしく、

「I WANT TO BELIEVE」とプリントされたクワガタTシャツを作り、

ヤバい奴らに追われてる自慢の講演会とTシャツの物販を

全国各地で行い儲けまくっていた。

 

 

それから1ヶ月、

ヤマさんはこつ然と姿を消した。

 

 

ヤマさんは真のレジェンドとして語り継がれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| Velo | 15:31 | - | - |

calendar

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< July 2017 >>

about

OFFICIAL SITE

OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE
OFFICIAL SITE

search

entry

archives

category

Feed

Others

無料ブログ作成サービス JUGEM

Mobile

qrcode